はじめに
本日からステージマジックの手品論を連載していきます。
これから紹介する理論は私の手品に対する考え方を大きく変えた「児嶋達」の理論を私なりに噛み砕いて文章化したものです。
この理論は個人的な考えであり、みなさんにはこれを元に、時には批判的に構築して頂きたいと思います。
サーストンの三原則
「サーストンの三原則」
これは手品をしていれば、多くの人が耳にする有名な理論です。
この理論はハワード・サーストンという昔のマジシャンが言ったとされています。
サーストンの三原則は三つの禁止事項からなります。
披露する前に現象を説明しない
手品を演じる前に何が起こるかを説明してしまうと、観客の「次に何が起こるかわからないワクワク感」を台無しにしてしまいます。
それだけでなく、次に何が起こるか予測できるのでネタバレに繋がりやすいです。
何か特別な理由がない限りは、披露する前に現象を説明しないようにしましょう。
同じ現象を繰り返してはいけない
同じ現象を繰り返すたびに、観客は次に起こる現象を予想しやすくなるのでネタバレにつながりやすくなります。
クロースアップだと観客からもう一度やってほしいとお願いされるかもしれませんが、やらないようにしましょう。
ただしアンビシャスカードという例外もあるので必ずしもすべてに当てはまるわけではなさそうです。
種明かしをしてはいけない
手品を終えた後に、得意げに種明かしをする人を見たことはありませんか?
得意げに種明かしをしている最中は良い気持ちになるかもしれません。
しかしこのような行為は、観客を幻滅させてしまうのでやめましょう。
手品を考案した本人であればならまだしも、どこかの本から引っ張ってきた手品であればその人が自慢することではありません。
サーストンの三原則に対する私見
このサーストンの三原則の原則1と原則2から
観客の「次に何が起こるかわからないワクワク感」を保ち続けることの大切さが読み取れると思います。
原則3の種明かしに関する考え方ですが、基本的にマジシャンに対しては種明かしして良いと思っています。
むしろもっと公開するべきです。なぜならそれが手品界の発展につながるからです。
ただしマジシャンに対しても種明かしをしない方がいい例外もあります。
それは現象は不思議だけど仕掛けに課題がある場合です。
もし別のマジシャンが現象だけでなくその仕掛けも知った場合、課題となっている仕掛けも取り入れて手順を組んでしまうでしょう。
仕掛けを知らないで現象だけを知っていれば、多くのマジシャンが「この現象を起こすためにはどうすればいいのだろう」と考えるようになります。
そう考えることで、最適化された仕掛けを作ることができる可能性が生まれ、
それが手品界の発展につながるのです。
続く…
コメント