道具の特性を知る(スライハンド)「ステージマジックの手順構築その2」

手品論

はじめに

昨日からステージマジックの手品論を連載しています。

ここで紹介する理論は私の手品に対する考え方を大きく変えた「児嶋達」の理論を私なりに噛み砕いて文章化したものです。

この理論は個人的な考えであり、みなさんにはこれを元に、時には批判的に構築して頂きたいと思います。

種目について

まず手順を作るにあたり、多くの学生マジックサークルでは種目決めがあると思います。

こういったサークルでは「種目」を決めることによって手順を規定する志向があります。

これは極めて短い期間(数ヶ月〜2年)で舞台を完成させなければならない学生マジシャンが練習などのハードルを下げる目的で選んだ道です。

普通、学生マジックの外の世界では種目が語られることはほとんどありません。

しかし手順を作る前に種目が決まるということは、ある程度の雛形や土台が出来上がっているということなので、悪いことではありません。

手順を構築しようとしているあなたにはそれぞれの種目の特性を理解して頂きたいと思います。

構築の考え方には2点あります。

・1点目はいかにその種目の特性を最大限に活用するか

・2点目はその種目のデメリットをいかにして克服するか

です。

スライハンド

スライハンドの種目は基本的にパームがしやすいため、手品のテンポが非常に良いです。
しかし道具が小さいため、いかに大きく、見やすい演技をするかが課題となります。

四つ玉

四つ玉はプロアマ問わず多くのマジシャンによって研究されているので、
現象の種類が豊富であるのとテンポが良いのが強みです。

通常、玉の手順でポイントとなる点は1個出現、4個出現、カラーチェンジ、8or9個出現です。

特に白玉4つ出現した後は、技術的に難しい4個出現をやってもすでに4つ出ていることから見栄えが悪いです。
なるべく早い段階でカラーチェンジに移行した方がテンポがいいでしょう。

玉の課題は舞台上だと小さく見づらいことです。

いかに見やすい手順、表現、照明効果にするかが重要になります。
玉のサイズを一回り大きくするという手もあります。

ウォンド

ウォンドは人間の体の構造に適した道具と言えるでしょう。
腕の形を最大限に生かして、ネタを大きくしているのでとても見やすいのが特徴です。

魔法の杖と言っても説得力はないのでこの棒がなんなのかを説明する必要があり、そこが課題となるでしょう。

加藤陽氏はこのウォンドとネクタイと上手く組み合わせて手順を見やすくしています。

またウォンドの両端にある白いチップの存在意義ですが、
チップをつけることで細いウォンドが見やすくなっています。
(テレビの字幕が縁取りされているのと同じ原理です。)

しかし観客からするとそのチップがなんなのかわからないので、それをうまく活用してシンブルと見立てたのがウォンブルの発想です。

シンブル

シンブルはスライハンドの中で圧倒的に小さくて見づらい種目です。

一般的にはシンブルはクロースアップからサロンマジックで行う演目と言われています。
そのためプロの世界では発展せずに学生マジックの中で発展しました。

学生マジックが世界に誇る種目と言っても過言ではないでしょう。

シンブルの強みは圧倒的なテンポの良さとカラーチェンジです。
テンポの良いシェルによるカラーチェンジは鮮やかです。

ただしシンブルの一個遊びはネタの小ささから、見せ方に注意が必要です。

カード

カードはスライハンドの中でもネタが大きく、トランプであることが観客に伝わるので一般受けも良いです。

またプロダクション要素もある上に、構造上ギミックや技法を作りやすいので、プロアマ問わず人気の種目です。

ブランクカードを使う場合は、それがなんなのか(手紙、折り紙etc…)を説明する必要があります。

ディスク

ディスクはスライハンドの中で最大の大きさを誇ります。

しかし大きい代わりにパームができません。

ブラックアート頼りになりがちなので基本的に衣装のお腹のあたりはみんな黒です。

技術はカードを応用したものが多いです。

見ただけでCDであることが伝わるので、一般受けも良いですが、CDと決められているため、演出が似たり寄ったりになってしまいます。

通常のCDの記録面は銀ですが、ピンスポットに当てると反射して見づらいため、ミリオンなどのプロダクションパート以外でのメタリック色は避けた方が良いでしょう。

プロダクションパートでは乱反射で、実際よりも大きく見えるのでメタリックを採用することがあります。

また今日の技術の進歩は凄まじいものがあり、数十年後にはCDという概念が忘れ去られているという懸念点があります。

コイン

コインはディスクに取って代わられたため、現在ではほとんど演じられていません。

クロースアップではハーフダラーなどのサイズで行う演者もいますが、
本来はMDからCDのサイズで行う道具がコインです。

ハーフダラーなどをステージで行うのは、基本的には学生マジックの「コイン」演目ではなく「マイザーズドリーム」です。

マイザーズドリームはペン&テラーが有名ですね。

チップ

チップはコインに似た種目です。
チップの強みはカラーチェンジと飛行でしょう。

チップは指と指との間で保持するため、ネタの小ささからくる視認性の低さに加え、動きの制約も大きいです。

基本的な動き方はクロースアップで行われているコインの延長のものです。

新たな見せ方が加わるとチップがより発展するのではないでしょうか。

シガレット

シガレットは小さい割にカラチェンもできない非常に弱い種目です。

しかしこのシガレットにも強みはあります。

それはタバコであるということ、そして煙が出るということです。

強みはそれだけでなく、口が使える、タバコケース、ライターが使えるということ。
これはかなりの強みとなります。

出現や消失、飛行といったシガレットの現象は学生マジックでやり尽くされていますが、
近年のコンテストではタバコが吸えない手順が非常に評価されています。

口が使えることに加え、関連アイテムが豊富なことでミスディレクションもかけやすいです。是非やってみてください。

続く…

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