不可能性と意外性、タイムミスディレクション「ステージマジックの手順構築その5」

手品論

はじめに

ステージマジックの手品論を連載してから5日目です。

ここで紹介する理論は私の手品に対する考え方を大きく変えた「児嶋達」の理論を私なりに噛み砕いて文章化したものです。

この理論は個人的な考えであり、みなさんにはこれを元に、時には批判的に構築して頂きたいと思います。

不可能性について

ここでは不可能性についてのお話をしたいと思います。

手品は不可能性が感じられるからこそ不思議と感じることができ、楽しいものです。
しかし、不可能性が高すぎると、逆に良くないです。

下記の例を想像してみてください。

演者が一つのボードを持っています。

ボードは銀の縁取りがされていて中は真っ黒です。

ここで演者がほとんど動いてないにもかかわらず、
一瞬にしてそのボードに絵が現れました。

ここまで聞くと皆さんの中の多くはとても不思議な手品だと思われたことでしょう。

しかし、先程の文章のボードをiPadに置き換えてみてください。

電源ボタンを押しただけじゃないか、となるはずです。

特に被害者ルーティンでは、機械に頼ることが多くなりますが、いかにして機械っぽさを出さずに不思議に見せるか、ということも重要となります。

機械だらけの手順は、実際に見たことがありますが、凄いし、面白いとも思いましたが、不思議ではありませんでした。

意外性について

 手順の緩急ということがよく言われますが、緩急をつける手法の一つに「意外性」というものがあります。

「意外性」を意識すると良いでしょう。以下に意外性の例をいくつか並べてみます。

・見たことのないギミック
→マジシャンにとって意外性があるものになる可能性があります。また、同様の考え方で意外性の出るものを以下にいくつか書いてみます。

・イリュージョン
→人体を使った現象は意外性があります。

・水もの、火もの、生きもの
→これも一般の方にとっては意外性があります。

・浮遊現象、貫通現象
→フライングリングやフローティングローズ、フローティンググラス、通り抜けシルクの考え方です。出現、消失だけでないものを入れるのは意外性があります。

・アニメーションにおける出現、消失。プロダクションにおける消失
→これも上項と同じく意外性があります。

・Mtでの現象
→四つ玉のミリオンなどがこれに当たります。今まで板中で演技をして物を捨てる場所であったところで手品がおこるのは意外性があります。

タイムミスディレクション

伝々師の「がっちゃんこ」という考え方、
 峯村健二師の「ワンアヘッドシステム」という考え方、

その他さまざまなマジシャンがタイムミスディレクションということを考えてきました。

手順を創るにあたってこの考え方は重要になります。

ステージマジックはスチールしてからそれを出現させるというのが基本的な考え方の一つとなっています。

しかし、スチールしてからすぐに出した場合、観客があそこでとってきたのだな、と気づいてしまいます。

その解決策として、スチールしてからそれを出現させるまでの間にタイムラグを発生させ、スチールしたことを分かりづらくさせます。

これがタイムミスディレクションです。

「がっちゃんこ」しかり、「ワンアヘッドシステム」しかり、同時にいくつかのものをスチールしてしまおうという考え方をしています。

続く…

コメント

タイトルとURLをコピーしました