アピールの概念と注意点「ステージマジックの手順構築その9」

手品論

はじめに

ステージマジックの手品論を連載してから9日目です。

ここで紹介する理論は私の手品に対する考え方を大きく変えた「児嶋達」の理論を私なりに噛み砕いて文章化したものです。

この理論は個人的な考えであり、みなさんにはこれを元に、時には批判的に構築して頂きたいと思います。

学生マジックの特徴であるアピールとは?

学生マジックの文化の大きな特色として、アピールというものがあります。

今回はそのアピールについてお話しします。

ところで手品が他の芸能と異なる点は何だと思いますか?

扱う道具が異なるのは当然ですが、もっと根本的に異なる点があります。

それは一人で成り立つかどうかです。

音楽は自分の口や手などで発信したものを自分の耳に入れて楽しむことはできます。

ダンスや舞踊でも映像をとって楽しむことはできます。

このように音楽やダンス、舞踊は一人でも成り立ちます。

しかし手品は、それを見てくれる観客がいないと成り立ちません。

つまり手品においては観客の存在が必須のものとなります。

観客に手品を楽しんでもらうためには、今起こっている現象を現実のものとして受け止めてもらう必要があります。

そして受け止めて頂いて、すごいと思ってもらったうえで拍手を頂きます。

その手段が「アピール」なのです。

順序としては、

現象が起こる

観客が現象を認識

アピール

観客が不思議さ(からくるすごい、かっこいい等の感情)を共有

観客が拍手

といった感じです。

サークルにいるとアピールで止まれということが盛んに言われていますが、この考え方ではアピールで止まるということがあり得なくなります。

アピールで止まるということは、「拍手をするまで動いてやらないぞ」という意識の表象です。

それを感じ取った観客は手品のすごさ等に拍手をするのではなく、拍手をさせられているという気持ちになります。

その結果、観客はその手品を楽しめなくなってしまうというわけです。

つまり観客に感情を共有してもらうか、楽しんでもらうかということが重要となってくるわけですね。

(昔は、アピールでしっかりと止まらないとカメラに上手く映らないから止まりなさいとよく言われました…)

アピールする上での注意点

アピールは拍手をもらう為の手段といいましたが、学生マジックを見ていると拍手をもらい過ぎている演者が見受けられます。

観客に拍手をしてもらうことは、観客にとってはストレスフルなことであります。

ですから、欲しい場所でしっかり拍手をもらう為にもアピールポイントは絞って手順の緩急をつけます。

拍手を強要されていると感じると、観客は演技を楽しんで観ることが出来なくなってしまうので気をつけましょう。

緩急をつける具体的な方法について解説します。

「手品の現象には連続した現象」というものがありますが、
これはテンポよく最後までやりきって一つの流れにし拍手を大きくもらいましょう、ということです。

連続の現象に該当するのは、
マスクの赤白割、ウォンドのエンドの8本カラチェン、メリケンのくすだま分裂だし、四つ玉の両手カラチェン→8つ玉、二人和妻の八本出し等です。

一つ目の現象で拍手をもらいそれが鳴りやまないうちにすぐさま次の現象に移ると最終的に拍手がより大きくなるという効果があります。
ぜひ試してみてください。

続く…

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